
サッカーのドリブルの記憶も原因なの!?睡眠中に叫び暴れる睡眠障害“レム睡眠行動障害”とは?
睡眠中に発生するさまざまな症状の睡眠障害“睡眠時随伴症”。具体的な症状は多岐に渡ります。ほとんどの方が眠っている間の行動内容に問題があるのです。
睡眠時随伴症のひとつ“レム睡眠行動障害”は、睡眠中に突然起き上がって大声で叫んだり暴れたりする症状があります。
年齢を重ねるにつれ発症する確率が高くなり、高齢者の約0.5%が発症すると言われています。
その割合は、200人に1人。意外にも多いと言えるかもしれませんね。
さらに、ほとんどのレム睡眠行動障害の方は50歳以上、そして10人中9人が男性。
男性を中心に発症する原因は分かっていません。
レム睡眠行動障害の症状
レム睡眠行動障害に罹ると、睡眠中に下記のような行動をとる症状が現れます。
眠っているのに…
●足をバタバタ動かす
●大声で叫ぶ
●起き上がって暴れる
人は睡眠中の記憶がありませんが、レム睡眠行動障害の場合、下記のような記憶が残っているケースもあります。
●サッカーのドリブルをしていた
●クマに追いかけられて逃げていた
●怪物と戦っていた
見てお分かりかと思いますが、これは夢です。
レム睡眠行動障害は“夢を見ているときに異常行動が起こる”のです。
夢の内容はなぜか悪夢であることが多く、そのため暴力的な行動が起きやすくなります。これには精神的なストレスが関係していると言われていますが、詳しいことは分かっていません。
あなたはレム睡眠行動障害?
睡眠中の記憶がないだけで、実はあなたもレム睡眠行動障害にかかっているかもしれません。
自己チェックをして確認してみましょう。
☑睡眠中なのに、大きな声で寝言を言ったり、笑ったり、怒ったりしているようだと言われたことがある
☑睡眠中なのに、手足を振ったり、手で字を書くような動作をしたり、急に布団に座ってしゃべりだしたりすると言われたことがある
☑夢の中で動物に追われ、現実では部屋を逃げ回り、夢の中で動物に物を投げたつもりが実際に物を投げていて室内が壊れていた
☑夢遊病のように、ベッドや布団から出て室外に出ようとしたり、家の外に出たりしてしまったことがある
☑異常行動をしているときに起こされると意外にもすぐ目覚め、夢の内容を思い出し、その夢と異常行動が一致している
睡眠中に上記のような症状を示しているあなたはレム睡眠行動障害の可能性があります。
レム睡眠行動障害の原因は?
レム睡眠行動障害の人が、睡眠中になぜ身体を動かしたり話したりするのか、その原因は未だにはっきりしていません。
ただひとつ言えるのが、パーキンソン病やうつ病などの神経的な病気を抱えている方に良く見られる“睡眠障害”だということです。
つまり、神経になんらかの異常があり、その影響で筋肉を動かすスイッチが入ってしまい睡眠中に異常行動をとってしまうと考えられています。
パーキンソン病にかかる前触れとして、レム睡眠行動障害が発症することもあります。そのため、レム睡眠行動障害の症状が見られたら、早めに神経科医の診察を受けることが大切です。
レム睡眠行動障害に有効的な治療薬
原因ははっきりわかっていませんが、レム睡眠行動障害に有効的だとされる薬は存在します。
“クロナゼパム(リボトリール)”です。
この薬は、主に“てんかん”の発作を予防するためのもので、精神系の活動を抑える作用があります。
レム睡眠行動障害以外にも、睡眠障害のひとつ“むずむず脚症候群”の治療薬として使われることもあります。
クロナゼパムを服用すると、1、2週間でレム睡眠行動障害の症状がおさまり、8~9割の患者さんはクロナゼパムだけで異常行動がなくなったとされています。
クロナゼパムで効果が見られない場合は、塩酸プラミペキソール〈商品名:ミラペックスなど〉を使うこともあります。これもパーキンソン病の薬で、ドーパミン作動薬のひとつです。
病院で検査を受けましょう
レム睡眠行動障害の症状をご紹介しましたが、その症状は広範囲にわたるため、自分の症状がどのくらいなのかをしっかり把握するためにも医療機関で検査を受けることが大切です。
レム睡眠行動障害をはじめとする睡眠障害を調べる検査は、“睡眠ポリグラフ検査”と呼ばれるものです。
頭や目、耳の後ろ、顎、足、胸などに電極やベルトをつけて、睡眠中にどんな行動をしているのか見る検査です。
検査で「オトガイ筋」という筋肉の活動が見られた場合や、ビデオモニターで異常行動が確認された場合、レム睡眠行動障害と診断されます。